根管治療の流れと重要性:根管治療の疑問解消!痛み・回数・成功率について歯科医が徹底解説
2024年11月11日
みなさん、こんにちは!
志木駅チカ・駅ナカ歯医者 志木駅前歯科グループの川口です。本日は根管治療についてお話しさせていただきたいと思います。
根管治療の一般的なイメージは、神経を抜く治療、痛い、回数がかかるといったものだと思います。
実際神経治療がどういったものか、みなさん、しっかり理解してから治療を受けておられますでしょうか?
当院では事前の説明をしっかりと行なってから治療に臨んでいただきます。
根管治療が必要な理由とは?
まず根管治療(根っこの治療)は、歯の内部にある歯髄(神経や血管が通る組織)が感染したり炎症を起こしたりした場合に行われる治療です。この治療の目的は、感染や炎症を取り除き、機能を改善させることにあります。
症状としては、自発痛(何もしなくてもズキズキする)、歯茎が腫れるといったことが起こっていると歯髄に感染や炎症が起きていることが多いです。
根管治療の流れ
1. 診断と麻酔
歯科医がX線検査や診察を行い、根管治療が必要かを確認します。必要な場合は、痛みを感じないように局所麻酔を行います。
2. 虫歯や感染組織の除去
歯を削って、感染した歯髄や周囲の汚染組織を除去します。
3. 根管の洗浄・形成
特殊な器具を使って、根管内を徹底的に洗浄し、汚れや細菌を除去します。また、根管を形成し、後の充填に備えます。
4. 根管の充填
根管内を乾燥させた後、根管用の充填材で隙間なく埋めていきます。これにより、細菌の再感染を防ぎます。
5. 歯の補強と修復
根管治療後、歯が脆くなるため、補強が必要です。クラウン(被せ物)を装着することが一般的です。
といったものになります。一つ一つ見ていきましょう。
1.診断
根の中の状態や根の先の状態を診断するため、さまざまな検査を行います。一般的なものであれば、レントゲン、打診(コンコンと叩く)、咬合痛の有無でしょうか。必要があれば加えて、冷温診(冷たいものや熱いものへの反応)、EPT(電気)等も検査していきます。
こういった検査を挟むことで、状態や予後を判断していきます。
2.感染の除去 形成 洗浄
感染や炎症の原因の多くは虫歯にあります。そのため、徹底的な虫歯の除去が
必要になります。しかし、根管内の感染は最新の器具を使用しても60%程度しか除去できないという報告もあります。そのために専用の洗浄液が十分に浸透するよう根管内を形成する必要があります。また、貼薬(根管内にお薬をつめて1−2週間おくこと)も必要となります。
3.根管充填
根管治療を行った歯には血流や免疫機構が失われます。そのため、治療後の数少ない細菌であっても増殖してしまうことがあります。その増殖する場、スペースを減らす処置が根管充填となります。また新規の細菌の侵入を防ぐためにレジンや金属を使用して土台を建てます。
4.修復(かぶせものの治療)
根管治療を行った歯は破折抵抗(歯の破折に抗う力)が低くなります。従来の方法では、虫歯があったところのみ金属の詰め物を型とりしてセットでした。これは必要最小限の切削量であるため推奨されていましたが、現在では割れやすさを改善できてないと言われております。また複雑な形になるため、感染予防としても弱いと考えられています。そのため当院ではクラウン(被せ物)での提案となります。
以上が根管治療の流れとなります。
治療の精度を高めるための当院の取り組み
根管治療とは、目の見えない細菌との戦いとなります。
そこで当院では必ずラバーダム防湿と言って、お口にゴムのマスクをして、唾液が根管内部に侵入しないようにしています。
唾液中の細菌が後で根尖病巣と言って、膿の巣を作って骨を溶かしていってしまうからです。
治療期間について:なぜ時間がかかるのか?
1歯単位(治療スタートから被せ物のセットまで)で治療期間としては、最低5回程度はかかることになります。(場合によったら7、8回)
期間や回数のかかる治療となりますが、大切な治療となりますのでお互いに頑張れたらいいかなと思います。
患者さんからよくいただく質問
最後によく聞かれる質問を以下にまとめました。
Q:根管治療中は痛いですか?
A:神経を除去する際には必ず麻酔を行います。再根管治療(以前に神経を抜いてある)であっても、複雑な根管系では少量の神経が残存している可能性が高いので麻酔を行うことを推奨しております。また、術後疼痛は鎮痛薬が効き、2、3日で落ち着くことが多いです。1週間続いても痛みが残存する場合や腫れてしまう場合は担当へまでご連絡ください。
Q:理想的な治療日の間隔はどのくらいですか?
A:根管治療中(土台の作製まで)は1、2週間が理想的になります。論文では、4週間程度は空けないほうが良いと言われています。お仕事等で間隔が空いてしまう場合は治療計画を立てなおしますので担当医に相談ください。
Q:他院で抜歯と診断されたが、治療可能ですか?
A:破折や歯質過小により抜歯と判断することもありますが、当院において検査を行い治療可能となるケースや提携先の根管治療専門医の紹介をすることもあります。予後等相談した上で選択肢を提案したいと思います。
Q:マイクロや3DCTはありますか?
A:マイクロ、3DCTともに用意してあります。見えない根管を探しきれていない根管がないか、拡大視野でしっかりと確認を行う目的です。
Q:他の病院で根っこの病気で、外科手術か抜歯って言われたのですが、他に治療方法はないのでしょうか?
A:再根管治療の範囲かと思います。もちろん再根管治療をしても改善しないなら歯根端切除術、歯の再植、それでも難しけれ残念ながら抜歯になることがあります。
症例紹介:再根管治療の成功事例
一度、神経治療を行なったが、膿が溜まってしまった再根管治療の例
根管治療終了時
3ヶ月経過後、黒い影が消失してきているのがわかります。
6ヶ月経過後、完全に骨が治りました。治癒した状態です。
次回は根管治療における成功率、それに対する意思決定、治療の精度を担保するために当院が行なっていることについてお話したいと思います。
志木駅前歯科グループ 川口 寛史