親知らずは本当に抜くべきか?
2024年10月5日
みなさんこんにちは!
志木駅前歯科・矯正歯科、志木駅南口歯科・矯正歯科の院長の里です。
本日は親知らずについての話を少し深掘りしたいと思います。
よく親知らずは抜いた方がいいと聞いたことはありませんか?
本当に抜いた方がいいか、しっかり説明されて、納得していますか?みんなが抜いているから抜いていませんか?多分、多くの方は抜歯を勧められた経験があるのではないでしょうか?
当院では親知らずでお悩みの患者も多くご来院頂き、抜歯を行うことももちろん多いのですが、ちょっと待って、抜かない方がいいのではと考えるタイミングがあります。
なぜ親知らずは抜かないといけないのか、という話になるのでしょうか?
そもそも親知らずは第三大臼歯とも呼ばれ、現代人の顎の大きさでは入りきれないことがほとんどです。
人類学的な話ですが、縄文人の顎の大きさと現代人の顎の大きさは食生活の大きな違いで、長い年月経て、縮小化してきてしまっており、親知らずだけが残ってしまった形で現代人は悩まされているということなのです。
親知らずと一言で言っても
①真っ直ぐ生えているが歯茎がかぶってしまっているもの
②斜めを向いていて少し頭が顔を出しているもの
③真横を向いて少し見えているもの
④完全に骨の中に埋まっているもの
⑤少ないですが綺麗に生えて上下がしっかりと噛み合わさっているもの
このように、多くのパターンがあるのが現状です。
親知らずが存在することでメリットとデメリットがあります。
メリット
①綺麗に生えて噛んでいる場合は咀嚼能率(噛み砕きやすさ)が上がる
②歯を失った場合にブリッジで利用することができる
③矯正治療の際、親知らずの手前の歯を抜いて、親知らずを移動させるで、治療難易度を簡単にすることができる(矯正専門医の考え方)
デメリット
①手前の歯を虫歯にしてしまう
②定期的に腫れる
③痛みの原因になる ※②、③は智歯周囲炎という親知らずが原因で感染が起きてしまっている状態です。
また親知らずを抜く手法には今回は言及しませんが、親知らずの抜歯が嫌われる最も大きな理由は
術後の痛みではないでしょうか?もちろんお顔が腫れてしまうこともあります。インプラントの手術よりも全然痛いと患者様に言われることが多いのが正直なところです。
なぜかというと、その理由は親知らずを抜くまでの過程にあります。
歯茎をきる
歯茎をめくる
骨を削る
と言った抜くまでの処置でこの痛みが出てきてしまうわけです。
当院ではできるだけ痛みの少ない、腫れの少ない処置を心がけていますが一定数、術後の不快症状が出てしまうのは事実ですの、しっかりと理解してもらって抜歯を行うように心がけています。
当院の親知らず抜歯前(掲載許可はいただいております)
当院の親知らず抜歯後(掲載許可はいただいております)
また当院では矯正治療を行なっている患者様も多く大変な親知らず抜歯をせずにうまく親知らずを移動させて、矯正を行う手法を取ることがあります。
たとえば、親知らずは健康な状態で、手前の歯が大きな虫歯であったり、もともとの歯の本数が足りないなどの状態がその適応になります。
ケース① 前方の歯を虫歯で残せなかったケース
矯正治療を希望され、手前の歯が歯質過少(残っている歯が虫歯など少なすぎる状態)
で抜歯を余儀なくされた状態
親知らずの前の歯を動かすと、親知らずが歯根(歯の根っこ)を作りながら傾きを変えてきた状態
親知らずが顔を出してきたので、ブラケットを装着して矯正治療に組み込んだ状態
ケース② 大変な歯の移動より親知らずを利用した方が矯正治療が簡単になったケース
移動が大変な矢印の歯を抜いて親知らずを移動しようと計画
うまく親知らずが出てきて、しっかり噛み合わせに参加してきた状態
ケース3 インビザライン治療にて顎位(噛み合わせ)が不安定になっている原因が親知らずの一つ前にあり、その歯を抜歯して親知らずを移動させてきたケース
親知らずが出てきて、綺麗に噛み合わさりました。
このように親知らずは矯正治療とうまく組み合わせて治療を行うことができます。私たちは一般診療を行う傍ら、矯正治療の知識、技術を習得しています。
抜くだけが親知らずではありません。親知らずを使った矯正治療は当院の得意分野です。
今回は親知らずは抜くべきなのか?についてお話しました。
まずは抜いた方がいい状態なのか、使うタイミングがあるのか、ぜひ当院に一度ご相談ください。
親知らずのご相談はいつでもお受け致します。皆様のご来院をお待ちしております。
院長 里 裕太郎